北海道のブルワリースペシャル 
    
    [小樽海鮮省]
    [小樽ビール]
    [CROSSROAD BREWING]
    [札幌地麦酒]
    
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    1月15日(月)
    見学日:1月11日(木)
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    CROSSROAD BREWING
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      現在札幌で開業準備中のBOP、CROSSROAD BREWINGを見学してきました。
      本州以外では初めて(だと思う)のBOPは、まさにホームブルーの延長と言った感じの工場でホームブルワーとして参考になるものばかりでした。
      “地ビールは金がなくてもできる”と言うことをまさに実践しようとしている、これも日本では初めての試みではないかと思います。 
      (写真をクリックすると640x480または480x640に拡大されます。)
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      工場に入ると右手に50リットルの仕込み釜が並んでいました。
      本来は6台並ぶそうですが、現在2台はまだ取り付けられおらず4台しかありませんでした。
      
      
      加熱はさすがにプロだけあって、直火ではなくスチームです。
      このあたりは趣味の醸造とは一線を画しています。
      現在はモルトエキストラクトでの醸造ですが、仕込み釜が6台揃うとグレインによる醸造も可能だそうで、ゆくゆくはグレインでの醸造も視野に入れているようでした。 
      
      モルトエキストラクトはドラム缶に入っています。
      ちょうど海外のホームブルーショップで量り売りをしているものと同じようなものです。 
      
      
      伺ったときは仕込みの最終段階で、ちょうど醗酵容器に移している所でした。
      その様子も紹介しておきます。
      チラーの出口には酸素ボンベが取り付けられており、ここでエアレーションが行われそのまま醗酵容器に送られるという仕組みになっています。
      
      
      
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    日本一貧しいブルワリー?
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      ここまで見ると他のブルワリーとたいして変わらないのですが、すごいのはこれからです。 
      まず醗酵容器。
      普通、プロのブルワリーというと小さいながらもステンレス製のコニカル容器を使っているところが大多数だと思いますが、こちらでは写真の様なプラスティック容器を使っています。
      アメリカでコーラなんかが入っている容器(だと言っていたような気がしますが自信なし)で大きさは50リットルだそうです。
      業務用の焼酎が入っている容器(20リットル)のでかいやつと思ってもらえると良いと思います。
      (触った感じもほぼ同じ) 
      
      
      小さなブルワリーではビン洗いなども手作業で行なっているというのは良く聞く話ですが、こちらでは本当にホームブルワーと変わらない装置で行なっているのにはたまげました。
      写真の洗浄用のテーブルは、中古で買ってきたものを改造して使っているそうです。
      また、写真手前に見えるビン洗い用の装置も手作りだそうです。
      (こんなものまで手作りするところにも驚きました) 
      
      
      この洗浄用のテーブルには面白い仕掛けがされていました。
      写真中央にある吸い込み口からテーブルの下にあるポンプを使って洗浄液が循環するようになっているのです。
      デモをしてもらった写真がこちらです。
      このデモではパイプの頭にシャワーとなるものが取り付けられていて、これで醗酵容器を洗うことができるそうです。
      シャワーの代わりにビン洗い装置を取り付けると、ビン洗い器に早変わり。
      なかなかのアイデアです。 
      
      
      これからカウンター・プレッシャー式のビン詰め器も自作する予定とのことです。
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      醗酵は暖房が入れてある醗酵室で行なっているそうです。
      だいたい18℃くらいで醗酵させているそうです。
      先ほどの醗酵容器にエアロックを取り付けて醗酵をさせていました。
      醗酵の激しいときには、エアロックから泡が溢れてしまうのでブローオフチューブを取り付けているとのことです。
      (この辺もホームブルーと同じですね) 
      
      
      醗酵が終わったビールは低温の部屋に入れて熟成させ、その後ケグに移してから炭酸ガスによりカーボネーションされます。
      写真では手前のビールが熟成中で奥のビールがカーボネーション中のようです。
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      12月にでき上がったばかりという第一号ビールも試飲させてもらいました。
      若干モルトエキストラクト特有の風味がしたものの、特に雑味は感じられませんでした。
      かなりドライに仕上がっており、後味のすっきりしたビールでした。
      このバッチで初期比重が1.040くらいで終了が1.010を切ったくらいだそうです。
      エールにしては炭酸が強いように思いましたが、これでも弱いと言う人もいるそうで、この辺りは好みの問題でしょう。 
      
      
      ラベルも手作りで、何とその辺の10円コピーで作っているそうです。
      このような徹底したコスト削減のおかげで、500mlビン1本当たり400円くらいで販売しいたいとのことでした。
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    完全オーダーのビール
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    ブルワー兼オーナーの須崎さんにいろいろとお話を伺うこともできました。
    もともとニセコでレストランを開いていたそうで、料理に合うビールが無いのが不満で、それらな自分で造ろうと思ったのがきっかけで、この商売を始めたそうです。
    そんなわけで各々のレストランの料理に合う完全なオーダーメードのビールを安価に提供していくのが目標だとのことです。
    そのためにゆくゆくはグレインで造りたいとも話してくれました。
    (やっぱりモルトエキスは高いそうです。) 
    
    
    しかしながら資金が十分にあるわけではいので、代用で何とかなる部分には極力お金を使わずにしているそうです。
    それだからこそ、いろいろな工夫ができるのだとのことです。
    (ホームブルワーとして大いに見習いたい点です。)
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    新しい風となるか?
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    これまで、どちらかというと資金がある程度あって、新しいことをやろうとする人が参入してくることの多かった(と思う)地ビール業界ですが、それとは違う風をCROSSROAD BREWINGが吹かそうとしている感じがしました。
    もはや、“資金がなくて地ビールができない”と言うのは単なる言い訳に過ぎなくなるのではないかと思います。
    本当にやる気があれば金がなくても出きると言うことを実証してくれるのではと期待しています。
     
    
    
    同店には是非とも成功してもらって、地ビール業界に新しい流れを作ってもらいたいと思います。
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    札幌地麦酒
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      札幌駅の近くのセンチュリーロイヤルホテル内にある『札幌地麦酒』に行ってきました。
      ここはホテル内に醸造施設があり、そこで造られたビールをレストランで提供しています。
       
      (写真をクリックすると640x480に拡大されます。)
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      レストランの入り口左手に大きな仕込み釜をガラス越しに望むことができます。
      この奥に醗酵容器やラガーリングタンクが並んでいるようです。
      (時間がなかったので詳しく見学させてもらいませんでした) 
      
      
      こちらのタップでビールを提供しています。
      今回あったビールはPils、 Weizen、 Dunkelの三種類でした。 
      
      
      個人的な感想としては全体的に炭酸が強く感じられました。
      それぞれの簡単なテイスティングノートは以下の通り。 
      
      ・Pils…
      『サッポロ黒ラベル』に良くある鼻に抜ける香りがした。
      後味が甘いく少々硫黄臭あり。 
      
      
      ・Weizen…
      特にオフフレーバーは感じられない、可もなく不可もないと言った感じ。 
      
      
      ・Dunkel…
      ロースト麦芽の香りが良い。
      ボディもしっかりしている。
      ここでは一番良いと思う。
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    風邪でダウン。
    レギュラーニュースは明日から更新(予定)。 
    
    あっ、北海道に行ったのはあくまでも仕事です。
    ブルワリーを回ったのもスキーをしたのもそのついでです。
    誤解なきよう^^;
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    1月12日(金)
    見学日:1月7日(日)
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    小樽ビール
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      予定では『小樽海鮮省』の後は小樽ビールで季節限定醸造などを飲んで、まっすぐ駅に向かう予定でしたが、思わぬハプニングにより醸造施設など内部を細かく見学させてもらうことができました。
      パンフレットを見たり、ビールを飲んだだけではわからなかった小樽ビールの秘密が明らかになりました。 
      (写真をクリックすると640x480に拡大されます。)
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      店内に入ると目の前に大きなマッシュタンが現われます。(写真は二階から撮ったもの)
      写真の向かって右側がメインマッシュ及びマッシュケトルとなるタン、左側がデコクション及びロータリングをするタンとのことでした。
      写真には写っていませんが、左側のタンの下にはワールプールが備え付けられており、省スペース化をはかっているようです。 
      
      右側のマッシュタンの真上にある部屋にはミルが置かれており、そこで挽かれた麦芽が直接タンの中に落ちるような構造になっているようです。
      写真のようなミルで見た感じはすごく小さいのですが、それでもホッパーには40kgの麦芽を入れることができるそうです。 
      
      マッシュタンの内部も見せてもらいました。
      上の写真がメイン・マッシュタンの内部で下の写真がデコクション・マッシュタンの内部です。
      下の写真の画面中央に見える小さな穴を通ってメインマッシュからマッシュが送られてくるそうです。
      このパイプの径が想像以上に小さく(5cmくらい)詰まるのではないかと思ったのですがそう言うことはないそうです。 
      また、デコクション・マッシュタンの方は底がメッシュになっておりこれを使ってロータリングができる構造となっているそうです。
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    オープンファーメンターに横置きラガーリングタンク
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      でき上がったワォートはチラーを通して醗酵室に移されます。
      驚いたことに、ここではオープンファーメンターを使っています。
      オープンファーメンターはカリフォルニアのSudwerk Brewery & Grill(GABF2000レポート10月11日編参照(LINK))で見たことがありましたが実際に醗酵室に入ったのは初めての体験でした。 
      
      
      醗酵室にはイーストの醗酵臭が充満しており、入った瞬間に下面醗酵イーストを使っているのがわかります。
      写真のようにファーメンターは全部で四つほどあり、奥の二つには醗酵が始まったばかりの、手前の二つにはラガーリングに入る直前のビールが入っていました。 
      
      
      ここでは一度に仕込むサイズが1,500リットルだそうで、ファーメンターも同サイズになっているそうですが、同じ銘柄を二回仕込んで合計3,000リットルで醗酵させるそうです。
      そのため今回のように同じ状態にあるビールが入ったファーメンターが二つあるそうです。 
      
      
      前回紹介したスタウトもこちらで仕込んでいるそうですが、スタウトの場合は1,500リットルひとつで醗酵させるそうです。
      
      
      
      
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      続いてラガーリングタンクの部屋に案内してもらいました。
      ここでもSudwerkで見たものと同じような光景が見られました。
      ラガーリングタンクが横に寝かせてあるのです。
      横置きにする理由について聞いてみたところ、『縦置きだと水圧によりビールの上面と下面での圧力差が大きくなり酵母の活動に違いが出てしまうため、横置きにして圧力差を極力減らし均一な醗酵を促している』とのことでした。
      ホームブルワーがケグでラガーリングする際にはあまり影響はないようなきがしますが、横置きの方がより良いということかも知れません。 
      
      
      最後に店で出すためのビールを入れておくサービングタンクを案内してもらいました。
      写真のように全部で4+1台のサービングタンクがありました。
      写真左側に見える4台は同じものですが、右に少しだけ写っているものはヴァイス用の特別なものだそうです。
      違いは耐圧性能だそうで、より高圧をかけるヴァイスには耐圧性の高いものを使っているとのことでした。
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    小樽ビールには正直言って驚かされました。
    土井さんによると、オープンファーメンターを使ったブルワリーは日本で三軒くらいあるそうです。
    (どなたかご存知でしたら情報をお願いします。) 
    日本のブルワリーもまだまだ面白いところがたくさんありそうですね。
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    北海道から戻りました。
    次号はCROSSROAD BREWINGのレポートです。
    通常ニュースは来週から再開します。
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    1月9日(火)
    見学日:1月7日(日)
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    日本でカスクのスタウトが飲める店
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      去年のBrewTexで得た情報“小樽にビアエンジン(ハンドポンプ)を三台出荷した”の真相を明らかにするため、小樽運河ビールストリートにある中華風ファミリーレストラン『小樽海鮮省』を訪ねてみました。
      同店のホームページによると、ここではカスクのスタウトを提供しているとのことです。 
      (写真をクリックすると640x480または480x640の拡大写真が見られます。)
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      まず、スタウトの“中”をオーダーするとハーフパイントのグラスに入ったスタウトが運ばれてきました。
      写真のように泡は非常にきめ細く少なめです。
      炭酸は非常に弱く、まさにハンドポンプから出したという感じでした。
      かなりドライに仕上がっており、ロースト麦芽に由来するコーヒーのような香りも感じられました。
      しかし、ひとつこれまでに味わったことのない口では表現できない香りがありました。
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    食事をした後にカスクが置いてある所とハンドポンプを見学させてもらいました。
    案内して下さったのはここでビールを仕込んでいらっしゃる土井さんという方でした。
    偶然にもちょうど食事に来られていたとのことでした。(かなりラッキーでした) 
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      まずはカスクを置いてある部屋。 
      店の入り口のすぐ左にガラス張りの部屋があり、そこにカスクが置かれていました。
      この部屋は10℃程度に調整されているそうで、薄着で入るとちょっと寒く感じました。 
      驚いたことに、使われているカスクは全て木製です。
      イギリスではほとんど木製のカスクは使われなくなったと聞いていたのでちょっと感動ものでした。 
      スタウトは醸造後、この木製カスクに入れられるため木特有の香りが付くとのことです。
      先程飲んだスタウトのこれまでに体験したことのない香りはどうやらカスクからの香りのようです。 
      
      カスクが乗せてある台は重さによって角度が変わるようになっています。
      重いときは上の写真右端のカスクのようにほぼ真横になっていますが、ビールが少なくなって軽くなってくるとだんだんと起き上がり、ビールが最後まで取りだせるようになっているのです。 
      
      気になっていた木製カスクの消毒についてですが、同店ではスチームを使って消毒するとのことでした。
      家庭でやるにはスチーム消毒というのはなかなか大変そうです。
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      ハンドポンプはカスクを置いてある部屋の脇にあるカウンターに据え付けられていました。
(写真上)
      裏から見た写真の奥がちょうどカスクが置いてある部屋となっています。(ちょっと見えにくいのですが、ハンドルが写っている左わきの明るい部分がカスクが置いてある部屋です。)
      一回のポンプでハーフパイントのグラスを満タンにできるそうなので、シリンダーはハーフ・パイントのようです。
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    法律上の問題についてもちょっと聞いてみました。
    それによると、この施設を作る際にもかなりいろいろとあったそうで現在まだもめている最中だとのことです。
    お上に負けずぜひ頑張って欲しいところです。 
    あと個人的な感想としては、せっかくカスクを使っているのですからぜひドライホップをふんだんに入れたIPAなんかもやって欲しいところです。
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    実はこの後、隣の「小樽ビール」も見学させてもらいました。
    スキーで疲れていなかったら明日掲載予定です。
    あ〜、何しに北海道に来てるんだか。
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